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壁をぶち壊して気づいた「断熱DIYの真実」。「断熱もついでにやってしまおう」——その一言が、余計な手間と体力を生む失敗のはじまりでした。壁をぶち壊し、グラスウールを詰め込み、石膏ボードを貼り直して、パテまで塗った。そのあとに知った事実が、あまりにも痛すぎました。
※この家を買ったときの話は築古住宅購入の注意点に、購入後最初のDIYは庭の抜根と物置設置の記録にまとめています。
築35年の中古住宅を購入したのは、2023年10月のことです。
2階の一室を、5歳の娘の部屋にしようと決めました。でも最初に見たとき、正直「これは手を入れなきゃ無理だ」と思いました。ダークブラウンの床、重い木目の建具、くすんだ壁紙。どこを見ても昭和の空気が漂っていて、子どもが喜ぶような部屋とは程遠い状態でした。
壁紙を貼り替えれば見た目は変わる。それはわかっていました。でもせっかく壁を触るなら、断熱もやってしまおうと考えました。古い家の冬は寒い。娘が快適に過ごせる部屋にしたかった。そのやる気が、あとで自分を苦しめることになります。
DIY断熱でよく使われるのが、グラスウール充填工法です。壁の中に断熱材を入れる方法で、私もこれに挑戦しました。
手順はシンプルに見えます。石膏ボードをカットして剥がし、壁の中にグラスウールを詰めて、防湿シートで養生し、また石膏ボードを貼り直す。それだけです。でも実際にやってみると、想像以上に過酷でした。
グラスウールは素手で触ると皮膚に細かい繊維が刺さります。石膏ボードをカットすると粉塵が舞い上がります。狭い部屋で防塵マスクをして、何時間も作業を続ける。体力的にも精神的にも削られる作業でした。
それでもなんとかボードを貼り直し、パテ処理まで進みました。ここまで来たら壁紙を貼れる。そう思ったとき、ふと不安になって調べてみたんです。
「断熱って、壁から始めて正解なんだっけ?」
断熱の効果には、明確な優先順位がある。壁は最後でよかった。むしろ、一番コスパが悪い箇所だった。
家から熱が逃げる割合を部位別に見ると、実は壁の比率はそれほど高くありません。最も熱が逃げているのは「窓」です。
| 優先度 | 部位 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 窓 | 熱損失の約50〜60%が窓から発生。内窓追加が最高コスパ。 |
| 2 | 天井 | 暖かい空気は上に溜まる性質がある。天井からの熱逃げは大きい。 |
| 3 | 床 | 冷気は床下から入り込む。特に1階は体感効果が大きい。 |
| 4 | 壁 | 効果がないわけではないが、工事の手間と効果が見合いにくい。 |
つまり、壁の断熱は「やらなくていい」ではありません。でも、窓・天井・床を先に手当てしてから、最後に検討すべき箇所だったんです。
壁だけ頑張っても、窓から熱がどんどん逃げていては意味が薄い。知識がなかった私は、効果の薄い箇所に、一番重い労力をかけてしまっていました。
手間・体力・時間・コスト。あらゆる面でこの作業は割に合わなかった。
パテ処理が終わったら、そのまま壁紙を貼って仕上げます。断熱については、まず窓の内窓化から改めてやり直す方針に切り替えました。順番を間違えた、それだけです。
ただ、この失敗があったから断熱の優先順位という大事な知識を身をもって学べた。これから断熱DIYを考えている方には、ぜひ先に知っておいてほしい話です。同じ時間と体力を、もっと効果の高い場所に使ってください。
今回は途中でやめてしまいましたが、もし壁の断熱をきちんとやるなら、グラスウールと必ずセットで考えたいのが「防湿シート」です。これを知らずに断熱材だけ詰めると、かえって壁の中で結露を起こし、カビや木材の腐りを招くことがあります。断熱材を入れるなら、ここは知っておいてほしい知識です。
冬、室内の暖かい空気にはたくさんの水分(湿気)が含まれています。この湿った空気が壁の中に入り込み、外気で冷やされた壁の内部で冷えると、水滴に変わります。これが壁内結露(内部結露)です。グラスウールが水を吸うと断熱性能はガクッと落ち、乾きにくいので柱や間柱を湿らせ続け、カビや木材の腐りの原因になります。
これを防ぐのが防湿シートです。室内側(暖かい側)にすき間なく張ることで、湿った空気が壁の中に入るのを止めます。湿気が入らなければ壁内で結露しません。だから防湿シートは「あってもなくてもいいオプション」ではなく、結露・カビを防ぐための必須の層です。
防湿シートは必ず「室内側」に貼ります。外側に貼ったり、室内側と外側の両方をふさいだりすると、入ってしまった湿気の逃げ場がなくなり、かえって壁内に水分がこもります。「暖かい側に防湿層」と覚えておくと間違えにくいです。
壁つながりで、古い電話配線の穴をDIYで補修した記録も書いています。