用も無いのに、カメラだけ持って家のまわりを歩いてきました。
途中で見つけた一面の白い花と、最後に会ったザリガニの話です。
久しぶりに晴れた
雨の日が続くと、外に出る理由がなくなります。用事がないから歩かない、歩かないから外の様子が分からない。気がついたら季節が進んでいた、ということがよくあります。
この日は朝から空が明るかったので、昼過ぎにふらっと出ました。行き先は決めていません。いつもの道を、いつもより少しだけ遠回りするだけです。
歩き出してすぐ、草の背が自分の腰より高くなっていることに気づきました。先月、庭で炭火をおこしたときは、まだここまでではなかったはずです。
ススキ……だと思ったけど
穂が出ていました。ススキです。……と書こうとして、一応調べてみたら、思ったより話がややこしいことが分かりました。
ススキによく似た「オギ」という草があります。見た目はほとんど同じで、ウェザーニュースの記事には「専門家でも難しい」という趣旨のことまで書いてありました。素人が写真だけで言い切れるものではないようです。
ススキとオギの見分け方
いちばん確実なのは芒(のぎ)です。小穂から針のような細い毛が1本出ているのがススキ、出ていないのがオギ。ほかにも、ススキは何本もの茎が束になって株を作り、オギは地下茎で広がるので1本ずつ立っています。葉の幅はススキが狭く、オギは広め。穂の毛の色は、オギが白、ススキはやや汚れた白だそうです。
今回の写真では、そこまで寄れていませんでした。株になっているようにも見えるので、たぶんススキだと思います。次は芒が写るくらい近づいて撮ってみます。
ちなみに、ススキといえばお月見です。2026年の中秋の名月は9月25日(金)。国立天文台によると、今年は満月とはずれていて、天文学的な満月は9月27日だそうです。十五夜と満月は、毎年ぴったり重なるわけではないんですね。
穂を採りに行くなら、ちょうどこれくらいの時期です。
一本の木と、広い空
毎日のように前を通っている木ですが、空が広い日に見上げると、ぜんぜん違うものに見えます。雨の日は下を向いて歩くので、そもそも見ていないんだと思います。
写真を撮って気づいたのですが、電線が入っていました。田舎の風景を撮ると、たいてい電線か鉄塔が入ります。邪魔だと思っていた時期もありましたが、最近はこれも含めて今の景色だと思うようになりました。
一面の白い花は、ぜんぶニラだった
道を曲がったところで、急に視界が白くなりました。一面の白い花です。
近づいて、においで分かりました。ニラです。
ニラの花の特徴
咲くのは夏の終わりから秋にかけて。花茎の先に、直径6〜7ミリの白い花が20〜40個も集まって、半球のかたまりを作ります。一つひとつは星のような形です。葉が平べったいのもニラの特徴で、これで見分けがつきます。
春先に咲く「ハナニラ」という別の花もあって、こちらは名前が似ているだけの別物です。野菜のニラが咲かせるのは、この時期の白い花のほうです。
つぼみは「花ニラ」として食べられる
調べていて知ったのですが、この花茎とつぼみは食べられます。「花ニラ」という名前で野菜として流通していて、中華の炒め物によく使われるそうです。
葉のニラより香りがおだやかで、ほのかな甘みがあって、炒めるとシャリッとした歯ごたえが出るとのこと。食べるのは花が開く前のつぼみの状態です。この日見たものは、もう咲ききっていました。
来年はつぼみのうちに気づきたいものです。直売所で椎茸を買ったときも同じことを思いましたが、旬のものは「気づいたときにはもう遅い」ということがよくあります。
奥の山まで、よく見えた
この日いちばん「晴れたな」と思ったのは、奥の山がはっきり見えたことでした。雨が続いていた間は、ずっと白くかすんでいました。
空気が洗われると遠くが見える、というのは分かっているつもりでも、実際に見えると毎回うれしくなります。
最後に、ザリガニ
帰り道でザリガニに会いました。何年ぶりに見たか分かりません。
近づくとハサミを振り上げてきました。この威嚇のかまえ、子どもの頃から何も変わっていません。こっちは何十年も生きたのに、ザリガニのほうはずっと同じことをやっている。それがなんだかおかしくて、しばらく見ていました。
ザリガニは2023年から「逃がせない」生きものになっていた
ここからが、この日いちばん知らなかったことです。
アメリカザリガニは、2023年6月1日から「条件付特定外来生物」に指定されています。
何が変わったのか(環境省のページより)
飼うのは今までどおり … 一般の家庭でペットとして飼うのに、許可も届出もいりません。手続きは不要です。
野外に放すのは禁止 … 「どのような理由であっても、野外に放したり逃がしたりすることは違法です」と明記されています。重い罰則の対象です。
捕まえた場所に戻すのもダメ … 一度移動させた個体は、原則として放すことができません。環境省は、野外で見かけても拾ったり移動させたりしないよう呼びかけています。
売り買いも禁止 … 販売・購入は規制されています。ただし、少数を無償でゆずるのは規制の対象外です。
つまり、捕まえて、しばらく眺めて、また水路に戻す。子どもの頃に当たり前にやっていたことが、今はできなくなっています。
持ち帰ると決めたなら、最後まで飼う。それができないなら、最初から手を出さない。そういう生きものになりました。
なぜこんな決まりになったのかというと、アメリカザリガニは飼っている人がとても多いからだそうです。ふつうの「特定外来生物」にして飼うこと自体を禁止すると、手続きが面倒だからと野外に放す人が増えてしまう。それを避けるために、飼うのはOK、放すのはダメ、という形にしたのだと環境省は説明しています。
知らずに「かわいそうだから逃がしてあげよう」とやってしまいそうな話です。子どもと一緒に出かけるときは、先に知っておいたほうがよさそうです。
なんも無い日が、いちばんええ
この日やったことは、歩いただけです。買い物もしていないし、何も作っていません。
それでも、草が伸びていたこと、ニラが咲いていたこと、山が見えたこと、ザリガニがまだいたこと。書き出してみると、けっこう見ています。
用事のある日は、たぶん一つも気づかずに同じ道を通っていたと思います。
- ススキによく似たオギという草がある。見分けは小穂の芒(のぎ)。あるのがススキ、ないのがオギ
- 2026年の中秋の名月は9月25日(金)。満月は9月27日で、十五夜と満月は毎年ずれる
- 秋に一面に咲く白い花はニラのことがある。直径6〜7ミリの花が20〜40個、半球状に集まる。葉が平べったい
- ニラの花茎とつぼみは食べられる。「花ニラ」として売られている。食べるのは花が開く前
- アメリカザリガニは2023年6月から条件付特定外来生物。飼うのは手続き不要だが、野外に放すのは違法。捕まえた場所に戻すのもできない
参考にしたページ
ススキとオギの見分け方
ウェザーニュース「専門家でも難しい? 秋を彩る『ススキ』と『オギ』の見分け方」
https://weathernews.jp/news/202511/120246/
中秋の名月の日付
国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2026/09-topics03.html
ニラの花・花ニラ
旬の野菜百科「花ニラ/花韮/花にら」
https://www.foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/nira-hana.htm
アメリカザリガニの規制
環境省「条件付特定外来生物アカミミガメ・アメリカザリガニの規制について」
https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/regulation/jokentsuki.html
環境省「外来ザリガニ」
https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/attention/gairaizarigani.html
動画でも見られます
この日の散歩を、25秒にまとめています。公開は9月20日(日)朝7時です。