日曜の夜、僕の机のパソコンの横に、巨人が出現しました。
大きさは、中ジョッキ級。胴体には、オレンジ色の文字で堂々と「肝臓を捧げよ!!」。
そこで今回は、この巨人を調査して図鑑にまとめました。題して「巨人図鑑 No.010【肝臓の巨人】」。調査員(僕)による報告書を、ここに提出します。

調査対象:パソコンの横に、巨人が出た

出現したのは、日曜の夜。場所は、僕の机の上。パソコンのすぐ横です。

机の上の、取っ手つきのガラスの中ジョッキ。胴にオレンジ色の縦書きで「肝臓を捧げよ!!」、左右に白い線の翼の紋章。中は氷と透明な飲み物で、表面に水滴。後ろに木の棚とコード、右下にノートパソコンのキーボードの角
📷 調査対象、パソコンの横に出現。中ジョッキ級の巨人です。(表面の水滴は、本人いわく蒸気)

調査対象は、取っ手のついたガラスの中ジョッキ。胴体にはオレンジ色の縦書きで「肝臓を捧げよ!!」、その左右には白い線で描かれた翼の紋章。体の中には氷と、透明な飲み物。表面には水滴がついています。

後ろには木の棚とコード類。右下には、ノートパソコンのキーボードの角と、Macのショートカット一覧のシール。(巨人の出現場所にしては、生活感がすごい)

パソコンの画面は、写していません。(調査報告書にも、守秘義務はあります)

ちなみに「肝臓を捧げよ」の元ネタは、アニメ・漫画『進撃の巨人』の有名なセリフ「心臓を捧げよ」。それを肝臓にすり替えた、もじりです。(心臓のかわりに肝臓。捧げる場所が、ちょっと下にずれました)

図鑑No.010:いきなり、番号がおかしい

調べた結果をまとめたのが、こちらの図鑑です。まず目に入るのが、右上の「No.010」。

「巨人図鑑 No.010【肝臓の巨人】」の1枚目。中ジョッキの写真の下に、分類・大きさ・出現場所・出現時間の4項目が並んでいる
📷 巨人図鑑 No.010、1枚目。(No.001〜009は、ありません)

……No.001から009は、どこにもありません。調査員も、行方を知りません。図鑑なのに、いきなり10番目から始まっています。(前の9体、どこ行った)

ただ、分類を読むと「九つの巨人に入れてもらえなかった、十番目の巨人」。No.010で、十番目。番号だけは、ちゃんとつじつまが合っています。(つじつまが合っとるのは、そこだけです)

「九つの巨人」も「翼の紋章」も、同じ作品から借りてきたネタです。(作品を知らん人から見たら、ただ肝臓の心配をしとるジョッキです)

大きさは「中ジョッキ級」。巨人なのに、中ジョッキ。(大きいのか小さいのか、はっきりしてほしい)出現時間は「日曜の夜が多い」。曜日まで書かれとるあたり、行動パターンを完全に読まれとる巨人です。

特徴:中身が、ぜんぶ透けている

巨人図鑑の2枚目。「特徴」と「能力」の2つの欄に、巨人の見た目と3つの能力が書かれている
📷 2枚目は、特徴と能力。巨人のくせに、手の内を全部書かれています。

2枚目は、特徴と能力。図鑑によると、この巨人は体の中に氷と麦焼酎ハイをたくわえているそうです。

……たくわえているも何も、ガラスなので丸見えです。(巨人のくせに、隠し事ができんタイプ)

そして能力は、3つ。順番に調査していきます。

能力①:氷の「カラン」で、人間をおびき寄せる

1つ目の能力は、氷の「カラン」という音で、人間をおびき寄せること。

おびき寄せられる人間というのは、まあ、僕のことです。(調査員、調査対象にいちばん弱い)

ここで、ひとつ気づきました。巨人は「カラン」と音を立てて、自分からアピールしてきます。ところが、捧げられる側の肝臓のほうは……

💡 調査資料① 肝臓は「沈黙の臓器」

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。よほどのことがない限り音を上げない臓器で、症状が出たときには重くなっていることもあるそうです。働きが体の裏方で、はじめのサインも「疲れ」などで肝臓のSOSだと思われにくく、気づきにくいとも言われています(厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールと肝臓病」、横浜市立大学附属 市民総合医療センター「『沈黙の臓器:肝臓』からのSOSを見逃さないために」より)。

巨人は「カラン」と鳴るのに、肝臓は黙ったまま。(音を出す係と、黙ってがんばる係。役割分担が、肝臓に不利すぎる)

能力②:水滴を噴き出す(本人は、蒸気だと言い張っている)

2つ目の能力は、戦うと体じゅうから水滴を噴き出すこと。しかも、かっこ書きでわざわざ「本人は蒸気だと言い張っている」と添えてあります。

いちばん上の写真を見るかぎり、どう見ても冷えたジョッキの水滴です。(蒸気にしては、すずしげすぎる)

では、人間のほうはどうか。汗をかいたら、お酒が蒸気みたいに抜けていく……なんてことはあるのか。調べてみました。

💡 調査資料② アルコールを分解するのは、ほぼ肝臓

飲んだお酒のアルコールは、大半が小腸から吸収され、血液に乗って全身をめぐり、肝臓で分解されます。肝臓でアセトアルデヒド、さらに酢酸へと分解されます。酢酸は筋肉や心臓に運ばれてさらに分解され、最後は炭酸ガスと水になります。汗や息やおしっこからも出ますが、ほんのわずか(汗は0.1%)で、汗をかけば早く抜けるというのは勘違いだそうです(厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」、厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールの吸収と分解」より)。

巨人の水滴は、ただの水滴。人間の汗も、アルコールを追い出してくれる係ではありませんでした。片づけ役は、けっきょく肝臓です。(肝臓、ここでも黙って働いとる)

能力③:何度でも再生する(おかわり)

3つ目の能力は、空っぽになっても、氷と麦焼酎があれば何度でも再生すること。かっこ書きは「(おかわり)」。

……これ、巨人の能力というより、注いでいる人間(僕)の能力では?(再生させとる犯人、ここにおる)

ちなみに、本物の「再生する力」を持っているのは、肝臓のほうです。

💡 調査資料③ 肝臓は「再生」する。でも無限ではない

肝臓には、傷ついた細胞をおぎなう「再生する力」があります。東京大学の研究紹介では、マウスの肝臓は70%を切り取っても元の重さと働きに戻ると書かれています。ただし、傷つく状態が何年も続くと「再生」も簡単ではなくなり、肝臓の働きや再生する力そのものが落ちることがあるそうです(東京大学「肝臓の再生を担う肝細胞の驚くべき性質を解明」、横浜市立大学附属 市民総合医療センター「『沈黙の臓器:肝臓』からのSOSを見逃さないために」より)。

巨人の再生は「おかわり」。肝臓の再生は、おかわりのための能力ではありません。(ここだけは、図鑑のボケに乗っからんようにしてください)

弱点と討伐方法:取っ手をつかんで、飲み干す

巨人図鑑の3枚目。「弱点」「討伐方法」「調査記録」の欄。吹き出しに「この巨人……麦の香りがする……」、横に頭に白い布を巻いて両手を上げておどろく田舎マンのイラスト。下に赤い字で「※肝臓に替えはありません。捧げすぎ注意。」
📷 3枚目は、弱点と討伐方法と調査記録。いちばん下の注意書きだけ、赤い字です。

3枚目は、弱点と討伐方法。弱点は取っ手。ここをつかまれると持ち上げられて、中身を飲み干されてしまうそうです。

弱点が、いちばん持ちやすい所についています。(巨人として、設計に問題がある)

討伐方法は「飲み干すこと」。ただし、討伐するたびに兵士の肝臓が少しずつ捧げられていく。

勝っても、こっちの肝臓が捧げられる。(どっちに転んでも、肝臓だけが損をする戦い)

討伐の記録をつけるなら、数え方にも決まりがあるようです。ここで、兵士のみなさんに、まじめな連絡事項です。

💡 調査資料④ お酒は「何杯」より「何グラム」で数える

お酒の量は「何杯飲んだか」だけでなく、中に入っている純アルコールの「グラム」で見るのが大事だそうです。計算は「飲んだ量(ml)×度数÷100×0.8」で、0.8はアルコールの比重(重さの割合)です。厚生労働省のガイドラインの例では、5%のビール500mlで20gになります(厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」より)。

図鑑の大きさは「中ジョッキ級」でしたが、人間のほうの数え方は「級」でも「杯」でもなく「グラム」でした。

なお、この巨人の中身の度数と量は、調査記録に残っていません。なので、計算もしません。(調査の詰めが、だいぶ甘い)

調査記録:「この巨人……麦の香りがする……」

そして、図鑑のしめくくりは調査記録。調査員・田舎マンの報告は、これでした。

「この巨人……麦の香りがする……」

3枚もかけて調べた結果、最後にわかったのが、におい。(調査の結論が、いちばんふわっとしとる)

図鑑の3枚目では、頭に白い布を巻いた田舎マン(イラスト)が、両手を上げておどろいています。(麦の香りで、そこまでおどろかんでも)

調査結果:肝臓に、替えはありません

図鑑のいちばん下には、赤い字の注意書きがあります。

「※肝臓に替えはありません。捧げすぎ注意。」

ふざけた図鑑ですが、この1行だけは本気です。巨人はおかわりで何度でも再生しますが、肝臓には替えがききません。しかも、しんどくても黙っているタイプです。

なので、この調査報告書の結論はこうです。飲みすぎ注意。(肝臓を、捧げすぎないように)

図鑑の3枚は、SNSでも公開中

この巨人図鑑は、YouTubeの「投稿」とインスタ、TikTokに、画像3枚で出しています。スマホで1枚ずつめくると、ちょっとだけ図鑑っぽくなります。(中身は、この記事の画像と同じです)

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📋 今回のまとめ(調査報告の要点)

おわりに:調査を終えて

日曜の夜、パソコンの横にジョッキがあった。始まりは、ほんとうにそれだけでした。

それがNo.010の番号をもらって、分類と能力と弱点と討伐方法まで決められて、りっぱな巨人になりました。(No.001〜009は、今も行方不明です)

ただ、調べてみてわかったのは、すごいのは巨人ではなく、文句も言わずにアルコールを分解している肝臓のほうだということ。(図鑑に載せるべきは、こっちやったかもしれん)

肝臓に替えはありません。巨人の討伐は、くれぐれも捧げすぎないように。飲みすぎ注意です。

晩酌の日の記録は、ほかにも半額カルビを焼き鳥グリルで焼いた日や生きた鮑を踊り焼きにした日、半額のシャトーブリアンを焼いた日があります。ほかの日の記録は田舎マンの日常。の一覧からどうぞ。

参考にしたページ

調査資料(豆知識)は、次のページを読んで書きました。

肝臓は「沈黙の臓器」
厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールと肝臓病」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/alcohol/a-01-002.html

肝臓は「沈黙の臓器」・「再生」が簡単ではなくなること
横浜市立大学附属 市民総合医療センター「『沈黙の臓器:肝臓』からのSOSを見逃さないために」
https://www.yokohama-cu.ac.jp/urahp/medical/medicalnews/liversos.html

肝臓の再生(マウスの肝臓の70%)
東京大学「肝臓の再生を担う肝細胞の驚くべき性質を解明」
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/a_00044.html

アルコールの分解・純アルコール量の数え方
厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001211974.pdf
公表ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37908.html

汗や息から出るアルコールは、ほんのわずか
厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールの吸収と分解」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/alcohol/a-02-002.html