北海道産の生さんま、2尾入りで322円。
今回は塩をふって、30分ねかせてから焼きました。
644円が322円
買い物のついでに鮮魚コーナーを見たら、さんまに半額のシールが貼ってありました。644円が322円。2尾入りです。
ラベルには「北海道産」「生さんま2尾・中」とありました。「生」と書いてあるのが、あとで効いてきます。
💡 「生さんま」と書いてあるもの
9月から10月に店に並ぶ「生さんま」は、北海道の近くで獲れて、凍らせずに運ばれてきたものです。漁場が南に下がっていくにつれて、店頭のものも冷凍・解凍のものに変わっていきます。ラベルの「生」は、そういう意味です。
今回は塩をふる
実は少し前に、一匹150円の秋刀魚を庭の七輪で焼いた話を書きました。そのときは塩を振らずに焼いています。そのままの味を知りたかったからです。
今回は逆をやってみます。YouTubeで焼き方を調べたら、みんな同じ手順を踏んでいたので、真似してみることにしました。
手順はこうです。
💡 焼く前にやったこと
1. キッチンペーパーで表面の水分を拭く
2. 塩をふって、冷蔵庫で30分ねかせる
3. 出てきた水分を、もう一度拭く
4. あらためて、味つけの塩をふる
なぜ30分ねかせるのか
この「塩をふってねかせる」のが何のためかというと、浸透圧で余分な水分を外に出すためだそうです。
魚の身には水分が含まれています。そのまま焼くと、水分が蒸気になって身がぼそぼそになります。先に塩で水を抜いておくと、身が締まって、焼き上がりがふっくらするという理屈です。
あわせて、生臭さのもとになる成分も水と一緒に出ていきます。
実際、30分後に取り出したら、下に敷いたペーパーがしっかり濡れていました。これを拭き取ってから、今度こそ味つけの塩をふります。
💡 塩をふってすぐ焼かない
塩をふってすぐ網にのせると、塩が身に入る時間が足りません。表面だけしょっぱくて、中は水っぽいままになります。30分という時間は、そのための待ち時間です。
丸ごとは乗らない
今回の火は炭ではありません。ドンキで買った電気の七輪です。天気が悪かったので、庭に出るのをやめました。
同じ七輪で直売所の椎茸を焼いた話も書いています。煙が少ないので、家の中でも使えるのが助かります。
ただ、小さい七輪なのでさんまが丸ごと乗りません。包丁で半分に切ってから焼くことにしました。
脂がぽたりと落ちる
しばらくすると、腹の下のほうから色が変わってきます。網に当たっているところが飴色になって、てらてらしてきました。
そのうち、網の棒についた脂が垂れて、下の熱線に落ちていきます。一瞬なので見逃しそうになりますが、これが見たくて焼いているようなものです。
苦みが、全然なかった
皿に上げて、トングで切れ目を入れます。背骨に沿って開くと、一本できれいに抜けました。
まずは何もつけずに食べました。
驚いたのは、内臓に苦みがほとんどなかったことです。前に焼いたときは、ワタの苦みが強くて、それがビールに合うと書きました。今回は、その苦みが来ません。むしろ甘い。
さんまには胃がない
調べてみたら、理由がありました。
さんまは「無胃魚(むいぎょ)」といって、胃がありません。食道と腸が直接つながっているので、食べたエサが20〜30分で体の外に出ていきます。
つまり、獲れたときに内臓の中がほぼ空になっている。だから未消化のエサが残らず、内臓が臭くなったり苦くなったりしにくいのだそうです。
💡 内臓のほろ苦さは胆汁
それでも少し苦みを感じるのは、胆汁(たんじゅう)によるものです。鮮度が落ちてくると、内臓から傷んでいきます。「生」で買えた日ほど、この苦みが出にくいということになります。
前に食べたものが苦かったのも、今回が苦くなかったのも、どちらも間違いではなかったわけです。違ったのは魚の状態のほうでした。
もう半分は味変で
半分食べたところで、残りに生しょうゆをかけました。
何もつけないほうは素材の甘さが出て、醤油をかけたほうは香ばしさが立ちます。どちらがいいとも言えません。1尾を2切れに切ったおかげで、両方試せたのは結果的によかったです。
動画でも見られます
下ごしらえから完食まで撮ってあります。脂が落ちるところは一瞬なので、動画ではゆっくりにして見せています。
📋 今回のまとめ
- 9月〜10月の「生さんま」は、北海道の近くで獲れて凍らせずに運ばれたもの
- 焼く前に水分を拭き、塩をふって冷蔵庫で30分ねかせる
- 塩でねかせるのは、浸透圧で余分な水分を抜くため。身が締まってふっくら焼ける
- 塩をふってすぐ焼くと、塩が入る時間が足りない
- さんまは胃がない「無胃魚」。食べたエサは20〜30分で出ていく
- だから内臓に未消化のものが残らず、苦く・臭くなりにくい
- 内臓のほろ苦さは胆汁によるもの。鮮度が落ちると内臓から傷む
- 小さい七輪には丸ごと乗らない。半分に切れば2切れとも焼ける
おわりに
同じ秋刀魚でも、塩を振るか振らないかで、こんなに話が変わるとは思いませんでした。
前は「そのままの味を知りたい」と言って塩を抜き、今回は「うまく焼きたい」と言って塩をふって30分待ちました。どちらも間違っていなくて、知りたいことが違っただけです。
ただ、今回いちばん面白かったのは味の話ではありませんでした。苦くなかった理由が、魚の体のつくりにあったということです。胃がないから、エサが残らない。それだけのことで、食べたときの味が変わる。
半額のシールが貼ってあったのは、ただ売れ残りそうだっただけだと思います。それでも「生」のうちに買えたのは運がよかったです。
ちなみに同じ七輪では焼き鳥も焼いています。火を熾さなくていいぶん、思い立ってすぐ焼けるのが電気のいいところです。